ESDになぜ大きな柱として文化・異文化交流が含まれているのか(5)

また別の部分ではアンが旧約聖書から引用しています。旧約聖書詩篇23章4節です。

たといわたしは死の陰の谷を歩むとも、 わざわいを恐れません。 あなたがわたしと共におられるからです。 あなたのむちと、あなたのつえはわたしを慰めます。

死の陰の谷とは何か分かりませんが、おそらくこの世で最も不吉な恐ろしいものを連想させます。その他人を歩んでいても恐れないと書いてあるのです。その理由は手何か分かりませんが、おそらくこの世で最も不吉な恐ろしいものを連想させます。その谷を歩んでいても恐れないと書いてあるのです。その理由は主が共におられるからだと言うのです。

私は神とは一体いかなる存在なのか、誰にも教えてもらえず、何から学べばいいかもわからず、何度も自問自答したものでした。

ある友人は私の故郷である鹿児島を飛び出し、東京に居場所を見出しました。ある友人は日本を飛び出し、アメリカに居場所を見出しました。ある友人は海外青年協力隊でアフリカへ行き、そこで改めて日本の素晴らしさに気づき、日本に帰ってきました。

つまり人間性と文化というのは分かちがたく結びついており、また人間にも多様性があるように、文化にも多様性があることが非常に重要であることが理解できます。文化に多様性があることによって、人は自分にぴったりくる文化を見いだすことができる可能性があります。また文化と文化の交流によって、新しい文化が発生する可能性があるわけです。私のように日本と言う文化圏にどっぷりとつかっていながらも、不思議なことに欧米の文化に大きな影響を受ける人間も出てくるわけです。

アイデンティティ (identity) とは、E·H·エリクソンの心理社会的発達のビジョンによれば、「自分とは何者かを問い、自分の由来、現在から未来のあるべき方向性を見出そうとする心の動き」であり、自己と他者の相乗関係のなかで形成される自分意識です。それは、育ちの過程

でどんな人々と交わり、どんな言語文化を内面化し、誰をロールモデルとして、どんな〈わたし〉に意味を見出していくのかという心的プロセスであり、周囲の期待や他者の視線と「今ここに在るわたし」とのズレに悩み自己否定と自己肯定を繰り返しながらも、マイナスをプラスに転じて力強く生き抜いていこうとする心理社会的能力です。

私などは非常に自分への関心が強い俗物ですので非常に明確に自分のアイデンティティー確立の道筋を思い浮かべることができます。

自己アイデンティティの発達は、生活世界の拡がりとともに同化の対象が広がっていく過程であり、それは関係性の発達のなかで可能になる自らの意味や価値の境界領域が広がる過程です。

人は最初、もって生まれた他者から区別される自分、長所も短所も含め、丸ごと自分が引き受けざるをえないものによって自己を認識していきます。個人的次元における「所有への同ー化」です。

「意味ある他者」や所属集団の範囲が拡大し、また、公教育やマスメディアを介して民族·国という大きな共同体の一員としての帰属意識も生まれてきます。社会的次元での「関係性への同一化」の段階です。さらには地球市民·人類・種·自然界の一員といった包括的な抽象理念·価値観にまで対象が拡大すると、普遍的次元での「意味への同一化」になります。

成長とともに活動範囲が広がると、家族から仲間集団·学校へとこうしてみると、文化もアイデンティティに決定されるものではなく、私たちがさまざまな人との関わりや経験を経て「何者

かになっていく過程(routes)」で変わりゆくダイナミックなものであることがわかります。時代が変わり、たちを取り巻く社会環境の文脈が変わるなかで、〈わたし〉の文化もアイデンティティも、これまでの〈わたし〉がどんなふうに育ってきたのかに規定されつつも、今、どんな生活をし、これからどんなふうに生きていきたいのか、どんな未来をめざすのかという、自らの価値観や選択にかかっているといえるでしょう。

以下はアイデンティティーがどのように構成されているかということを抽象的に表し、理解を助けてくれる図になっています。今の《わたし》の文化(ものの見方·行動の仕方、感じ方)に大きな影響を及ぼしてきたもの、自分が帰属意識を感じるもの、自分にこれが自分の

とって大切な意味をもつもの、存在証明だ!と思うものを、《わたし》を構成する文化的アイデンティティの華の、それぞれの花びらの中に書き込んでみるのです。これは一例です。

次に、これからの文化を方向づける価値観を「人間の関係性のあり方」に焦点をあてて理解するための指針として、クラックホーンとストロッドベック(Florence R. Kluckhohn & Fred L. Strodtbeck)の「価値志向」を紹介します。

①クラックホーンとストロッドベックの価値志向

クラックホーンとストロッドベックは、人間社会では誰もが以下の5つの普遍的な問いに対して、可能性のバリエーションのなかから答え(「価値志向」)を見出すと考え、こうした人々の解決方法の傾向が文化間や文化内に特徴的にみられる価値観を形成すると考えました。

①人間の本質とはなにか?(人間性志向)

②人間と自然との関係はどうあるべきか? (人間と自然に対する志向)

③人間の時間に対する志向はなにか? (時間志向)

④人間の活動に対する志向はなにか? (活動志向)

⑤人間と人間の関係はどうあるべきか? (関係志向)

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