ESD、SDGsの達成度を測る指標〜GDP(国民総生産)からGPI(本当の成長の指標)、GNH (国民総幸福)へ(15)

あらゆる業界で「働き方改革」が進められている。ワーク・ライフ・バランスを考えれば、そもそも1週間のうち5日間働くことも見直すべきではないか、という声も出始めました。

こうした声は、働く側からだけでなく企業からも出ています。優秀な人材を確保するにあたって、より柔軟な雇用形態が求められているためです。また、時間当たりの生産性では、日本はOECD加盟国35カ国中で20位という低さですが、これを高める上でも労働日数の見直しは意義があります。そこで注目されているのが、週休3日制の導入です。

週休3日制と聞いて休みが増えると喜ぶ人もいれば、1日当たりの労働時間が長くなったり、給料が下がったりする可能性を危惧する人もいます。果たして、どのようなメリットとデメリットが考えられるでしょうか。

ニュージーランドの企業の試み

昨年3月から4月にかけて、ニュージーランドの企業であるパペチュアル・ガーディアン(Perpetual Guardian)社が週休3日制の導入テストを行っていました。同社は信託や遺言、不動産などを管理する企業です。

2カ月間を週休3日制にして、社員のワーク・ライフ・バランスや生産性について試してみたのです。その結果、良い効果がみられたということで、同年11月には本格導入しました。

週休3日制の導入方法にはいくつかのスタイルがあります。日数を減らした分、1日の労働時間を増やしたり、労働時間自体を減らした分、給料を減額したりするなどの方法があります。

しかし、同社が採用したのは、労働時間自体を減らしつつも給料は変えない最も先進的なスタイルでした。週あたりの労働時間をこれまでの5日間×8時間=40時間から、4日間×8時間=32時間に減らしたのです。しかも、給料は変えませんでした。つまり、従業員の時間給は上げられたことになります。

このテスト結果について英紙「ガーディアン」が伝えたところによると、ワーク・ライフ・バランスがうまく取れた従業員は54%でした。また、実際に週に3日の休みを取れている割合は78%に達していました。(The Guardian:2018/07/19)

パペチュアル・ガーディアン社の試みは米紙「ニューヨーク・タイムズ」でも取り上げられました。それによれば、従業員は増えた休日を有効に活用したようです。オークランド工科大学のジャロッド・ハー教授(Jarrod Haar)はこのことを、就労時間が短くなった(つまり出勤日数が減った)ことで、いかに時間内に仕事を終わらせるかという意識が強くなり、生産性が向上したのだと見ています。

たとえば、今まで2時間かけていた会議が30分に短縮され、「仕事に集中したいので話しかけないでほしい」というサインも編み出されたといいます。このことをハー教授は、「彼らはより懸命にではなく、より賢く働いた」のだと語っています。

実際、従業員は今まで以上にクリエイティブになり、出社率が上がると同時に遅刻率は減りました。早退や長期休暇もありませんでした。なにより注目すべきことは、仕事の成果が週に5日働いた時と変わらなかったことです。

週休3日制の効果は、意外なところにも出ました。それは、電気代が20%も安くなったことです。同社の創業者であるアンドリュー・バーンズ氏(Andrew Barnes)は、電気代だけでなく、ラッシュアワー時の車の量も減らし、オフィスのスペースも小さくできるのではないかと語っています。 

同氏の次の言葉は日本のデフレマインドから抜け出せない経営者たちも注目すべきかもしれません。

 「あなたがより短い時間で成果を出せるなら、どうして給料を減らす必要があるのですか?」

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