ESD、SDGsを進める上で必要不可欠な地球の許容量という考え方について(6)

しかも、1970年のあたりから一人あたりの工業生産が伸び悩んでいるのが目に付きます。これは人口減少社会である先進国にとっては死活問題です。先進国は単純に人口が減少すると年金や医療保険といった多くの社会システムが破綻済することが予想されます。これを防ぐために一人あたりの工業生産を伸ばさなければなりません。別の言葉で言えば一人当たりの労働生産性を高めるのです。その切り札として期待されているのが人工知能です。

そうは言っても、地球上の資源は有限であり、耕作できる土地にも限りがあります。私たちはあたかもこのまま永久に成長を続けられるかのように経済活動を行ってきましたが、それが地球の限界にぶつかっているのが現在の状況です。

有限の地球で無限の成長をめざそうとしている結果が「地球が提供できる能力」を超えてしまっています。「エコロジカル・フットプリント」という指標があります。(footprint) とは「足の裏、足あと」という意味です。つまりどれぐらいの大きさで地球を踏みつけているのか、言い換えれば、私たちの暮らしや経済活動を維持するために、どれぐらいの地球が必要なのかを表したものです。

「エコロジカル・フットプリント」をわかりやすく説明する言葉として、成長の限界があります。成長の限界とは、ローマクラブが資源と地球の有限性に着目し、マサチューセッツ工科大学のデニス・メドウズを主査とする国際チームに委託して、システムダイナミクスの手法を使用してとりまとめた研究で、1972年に発表された。「人口増加や環境汚染などの現在の傾向が続けば、100年以内に地球上の成長は限界に達する」と警鐘を鳴らしています。

有名な文として

人は幾何学級数的に増加するが、食料は算術級数的にしか増加しない。

という言葉があります。

しかし実際は1972年から現在までは食料は算術級数以上に増産されました。原因の1つは化学肥料の発明であり、他にも除草剤の発明、遺伝子組み換え食品の発明などがあります。しかし、これからはそうはいきません。

「成長の限界」が出された1970年頃のエコロジカル・フッントは0.8ほどと、地球1つの範囲内で収まっていました。現在のエコロジカル・フットプリントは地球の範囲を超えて1.4くらいといわれています。

「地球は1つしかないのに、なぜ1つ以上の暮らしができるのだろう?」と思うかもしれません。これは、たとえば銀行口座を考えてみるとわかりやすいでしょう。みなさんがこれまで努力を重ねたくさん貯金をしてきたとします。たくさん残高があれば、短期的には収入よりもたくさんのお金を使うことができます。今私たちがしていることもこれとまったく同じで、これまで地球が長い時間をかけてためてきてくれたものを、私たちが短期的にたくさんの量を使っているのです。貯金を使い続けていれば銀行口座の残高はいつかゼロになってしまうように地球がためてきてくれたものもこのまま使い続ければいつかなくなってしまいます。

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