総力特集 SDGsとESDをうまく繋げるためのESD理解〜現代教育の歴史的背景(8)

「ゆとり教育」

1977 (昭和52)年の学習指導要領改訂は、戦後日本の教育改革におけるひとつの画期とみなせます。しかし、それにつながる議論自体はもっと前から始められていました。政策論議における重要な転換点と目されているもの

は1971 (昭和46)年の中央教育審議会「今後における学校教育の総合的な

拡充整備のための基本的施策について(答申)」、いわゆる「四六答申」と呼ばれるものです。ここでは、生徒の「個性」や「特性」を重視した弾力的な教育方法へと改善されるべきことが提言されています。

さらに、77年改定に直接的なインパクトを与えたものとして、前年に教育課程審議会(教課審)答申「小学校・中学校及び高等学校の教育課程の基準の改善について」(1976年)が出されました。そこで最も重要な教育課題とされたものは人間性豊かな児童を育てることであり、そのためにゆとりある学校生活、児童の個性や能力に応じた教育が必要とされました。これによって、各教科の授業時数を削減し、それによって生じた時間を、地域の実状に応じた学校の創意工夫による多様な教育活動にあてられることが期待されることになったのです

この答申に基づいて改訂された1977年の学習指導要領は、いわゆる「ゆとり教育」への転換点とみなすことができます。これ以降、教育内容、教科の時数は改訂のたびに削減され、「生きる力」が学校教育の主たるスローガンとなります。また、総合主義的なカリキュラムの導入も進められてきました

1989年改訂では小学校低学年に理科と社会を統合した「生活科」が導入されました。このとき、総授業数は基本的に据置きとされたのですが、教課審の審議で学校週5日制への移行や中学校における必修教科の授業時数の弾力的運用などについての検討がなされ、また、「新しい学力観」の理念を中心とした

意欲·態度を重視する学習指導や絶対評価が開始されるなど、「ゆとり教育路線はますます強調されることとなりました。1998年改訂では、この路線はいっそう進められ、総授業数も大幅に減少され、「総合的な学習の時間」が小中高における教科外の教育活動の枠組として導入されます。自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てること、学び方やものの考え方を身につけ、問題の解決や探求活動に主体的、相応的に取り組む態度を育て、自己の生き方を考えることができるようにすること、などをねらいとする総合主義カリキュラムでした。

コメント