サステナブルな農業とは何か?〜除草剤はサステナブルなのか(3)

4.日本政府の見解

これらの流れを受けて、2016年7月12日に、日本の内閣府食品安全委員会は、グリホサートにおける発ガン性や遺伝毒性はないと結論付けています。

5.アメリカ カリフォルニア州の見解

冒頭でもご紹介しましたが、2017年6月26日、米国カリフォルニア州環境保健有害性評価局(OEHHA)が、同州で定める通称プロポジション65の物質リストにグリホサートが発ガン性物質として登録されました。

このニュースはSNSなどでも拡散され、大きな話題を呼びました。

このプロポジション65は、アメリカカリフォルニア州独自で定めた州法で、発がん性物質と生殖毒性物質が飲料水源に排出されるのを禁止し、かつそれらの物質が人に暴露される可能性がる場合は事前に警告を行う事を義務付けています。

今回のOEHHAの発表は、前述のIARCの報告(2015年)をもとにされており、その後2016年に日本の内閣府食品安全委員会が「発ガン性や遺伝毒性はない」と結論付けています。

6.アメリカ連邦政府当局の見解

カリフォルニア州のOEHHAの発表からさかのぼること3か月、アメリカ連邦政府の最新の見解では、

2017年3月に連邦政府当局からグリホサートは「ヒトに対して発がん性があるとは考えにくい“not likely to be carcinogenic to humans”」

7.モンサント社がラウンドアップが原因で癌になったと訴えられた裁判で敗訴

米国カリフォルニア州在住の男性が癌になったのはラウンドアップのせいだとして、販売元のモンサントを提訴した裁判で、モンサントに約2億9000万ドルを支払うように命じた判決が下されました。(モンサントは上訴する意向を示しています)

サステナブルな農業とは何か?〜除草剤はサステナブルなのか(4)

ラウンドアップをめぐる毒性・発ガン性への見解【時系列】

医学論文

ラウンドアップをはじめとするグリホサート系除草剤の毒性・発ガン性についての様々な見解を時系列でまとめてみましょう。

①2000年5月20日:日本農薬学会「グリホサートの毒性試験の概要」

→ 毒物ではなく普通物

②2015年3月20日:IARC(国際がん研究機関)

→ グループ2A(人に対しておそらく発ガン性)に分類

③2016年5月16日:FAOとWHOの合同会議(JMPR:合同残留農薬専門家会議)

→ 遺伝毒性・人の発ガン毒性の可能性は低い

2016年7月12日:日本内閣府食品安全委員会

→ 遺伝毒性・発ガン性はない

2017年3月:アメリカ連邦政府当局

→ グリホサートが人に対して発ガン性があるとは考えにくい

【その他諸外国・研究機関の反応】

◆カナダ: 用法を守れば健康に害を及ぼすものではない“Proposed Re-evaluation Decision PRVD2015-01, Glyphosate”. Health Canada (2015年6月17日).

◆ニュージーランド:グリホサートの発ガン性に関しては証拠が十分であるとは言えない“Review of the Evidence Relating to Glyphosate and Carcinogenicity”. Environmental Protection Authority Te Mana Rauhī Taiao (2016年8月)

◆オーストラリア:グリホサートの暴露は、人に発ガン性・遺伝毒性のリスクをもたらすものではない“Regulatory position:consideration of the evidence for a formal reconsideration of glyphosato”. Australian Pesticides and Veterinary Medicines Authority (2016年9月)

◆ECHA(欧州化学機関):人におけるグリホサート暴露による任意の癌形(非ホジキンリンパ腫)との間の関連性は、示された疫学データが農薬の発ガン性の可能性を検出するために限定されたもので説得力がない“同上-Australian Pesticides and Veterinary Medicines Authority”

◆EFSA(欧州食品安全機関):the weight-of-evidence(証拠の重み)は、グリホサートの使用に関連したヒトへの発ガン性のリスクはない “同上-Australian Pesticides and Veterinary Medicines Authority”

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