サステナブルな農業とは何か?〜除草剤はサステナブルなのか(2)

2.IARC(国際がん研究機関)の見解

2015年3月20日に、WHOの外部機関であるIARCが、グリホサートを含む5つの有機リン系農薬について評価の結論を発表しました。

その結果というのが、グリホサートはグループ2A「probably carcinogenic to humans(おそらく、人に発がん性がある)」という上から二番目にリスクの高い評価だったので、世界中に衝撃が走りました。

その時点ですでにラウンドアップをはじめとするグリホサート系の薬剤が世界中で使われていたからです。この発表からすぐに、日産化学が発ガン性の心配はないとする声明を出しています。

一点注意が必要なのは、グループ2Aの「おそらく発ガン性がある」というのは、その物質の発ガン性の強さからの分類ではなく、発ガン性があると言える根拠がどれだけあるかという「証拠の重み(the wight-of-evidence)」で分類している点です。

一番重い評価のグループ1は「発ガン性がある」という断定ですが、グループ2Aはグループ1の物質の次に発ガン性が強いという訳ではないという事です。

IARCが出したグリホサートに関する結論は下記のようなものでした。

人の非ホジキンリンパ腫に対して限られた根拠があり、さらに動物実験では発がん性の明白な根拠がある

しかし、その「人の非ホジキンリンパ腫に対する限られた根拠」とする内容を見てみると、職業や生活習慣などの質問と同様にグリホサートの年間使用日数に関する質問があり、それらの回答から疾患に関する関連性を見るという手法を取っていました。その結果、非ホジキンリンパ腫とグリホサートの年間使用日数に「相関関係」が見られたという物でした。

つまりは、ケースコントロールスタディとして、非ホジキンリンパ腫の人に生活習慣等を質問し、その結果グリホサートの使用回数が多かったというもので、「グリホサート=非ホジキンリンパ腫の原因」が分かったわけではないのです。

世界的にもこのIARCの結論には異論が続出し、ドイツのリスク評価研究所(BfR)やカナダ、オーストラリアなどの研究機関も、発ガン性があると結論付けるにはあまりにも根拠が不十分だとして非難の声をあげています。

3.FAO/WHO(JMPR:合同残留農薬専門家会議)での声明

2016年5月16日に、FAO(国連食糧農業機関)/WHO(世界保健機構)はJMPR(合同残留農薬専門家会議)において、グリホサートは

予想される接触による暴露量で遺伝毒性を示す可能性は低く、食事を介した暴露によるヒト発がんリスクの可能性は低い

と結論付けられました。

前述のIARCはWHOの外部機関ですが、意見が分かれていることが分かります。

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