○ 知られざる官僚の待遇
質問者 タクシーは、乗り放題なのですか?
石川 枠があって、タクシー・チケットという物があるんです。
福井 省庁によって全然違うんです。 同じ省でも部署で違う。
岸 恵まれた部署では、無制限に乗れます。
福井 予算の中枢に近いほど、恵まれているんです。会計課とか局の総務課は、恵まれています。残業させられて、自腹でタクシーで帰った事も、何回もあります。
質問者 残業代が出るのですか?
福井 残業には、大体は頭打ちがあります。私の経験では、会計部局を除いては20時間で頭打ちでした。
石川 ××党の大物議員の場合、言う事を聞いて(時間外の)働きをすると、お金をくれるからね。そういう時は、全てピン札なの。
○ 国会答弁の裏側
国会答弁では、野党からの質問は『事前に官僚に通達されて』います。そして官僚は、回答用の原稿を作成し、それを総理や閣僚は読み上げている。
福井 国会の質疑は、最後(結論)は決まっているんですよ。質疑に入る時には、結果はすでに決まっています。だから、質疑応答じたいが、出来レースなんです。
石川 想定していない質問をされて、ごく稀にですが政府側が負ける事もあります。でも通常の場合、官僚が事前に質問を取りに行って、不利な質問は全部その時に消しちゃうん
です。『先生、その質問はこうです』と、役人がその場で答えちゃう。私は、これをよくやりました。
福井 本番で言われたくない事は、あらかじめ納得してもらうように心掛けます。
石川 それが、事務方の手腕になっているんです。
質問者 政治家に渡す原稿は、『漢字にルビが振ってある』と聞きますが?
福井 ルビを振れと言われた事があります。
『円滑な事業の進捗状況』と書いたら、「エンコツなジギョウのシンショウジョウキョウ」と政治家が読んじゃいまして。後から局長に思いきり叱られました。『小学生でも分かるように、漢字には全てルビを振れ』と。
岸 漢字の読めない大臣は、いっぱい居ます。
寺脇 総理大臣だって、漢字の読めない人も居るから。
石川 役所用語は、難しい漢字が多いんですよ。自由闊達とか侃々諤々とか。
質問者 そういう難しい言葉じゃないといけないのですか? 噛み砕いて書いたらダメなのですか?
岸 前例に倣って無難な答弁にするのが、メインになってますから。結局は、単語は難しいけど、文章自体は大した事は言ってないんです。
福井 揚げ足をとられない事が、非常に重要なんです。
岸 国会答弁には、決まり文句がいっぱいあります。僕も愛用していた決まり文句は、『いずれにしても』です。国会答弁の一番の原則は、『野党の質問に正面から答えないこと』なんです。すれ違い答弁とよく言われますが、揚げ足をとられないように、言質をとられないように、答弁をしていきます。相手の質問に答えにくい場合、話を変えるために、「いずれにしても、鋭意前向きにがんばってまいる所存です」と言うわけです。
○ 官僚の素顔
質問者 農水省の元官僚の人が、「経産省の人はチャラい(軽薄だ)」と言っていましたよ。
岸 それは否定しません。
石川 私みたいに生真面目な人もいますよ。
質問者 合コンなんて、するのですか?
岸 よくやりました。官僚って、合コン相手としては良くないんです。話がつまらないですから。
福井 「自分は何法の何条の条文を作ってる」とか、延々と女の子の前で喋っちゃうんです。延々と喋り続ける人が、官僚には多いです。
岸 役所の人間って、自慢したがるんです。
役人同士で昼飯を食ったって、自分の仕事を自慢してますから。
福井 官僚は、同じ課のアルバイトの女性と結婚する人が多いですよ。
岸 手が足りないと言って、非常勤のアルバイトを雇います。官僚は男ばかりですから、若くてかわいい子をアルバイトに選ぶんです。
福井 面接は、庶務係長などがします。 採用は縁故関係が多いです。
岸 自分のセクションごとに募集して採用できますから。
福井 アルバイトには公務員試験が必要ないから、どんな人でも採用できます。
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